はじめて心理士さんに会ったとき、こう言われました。
「お母さん、大変でしたね」
たった一言。でも、その言葉がずっと心に残っています。
泣けなかった、あの日のこと
その言葉は、すべてを包んでくれるような、やさしいひとことでした。でも私は、泣けませんでした。
もうすでに「これから」が迫っていることが、わかっていたからだと思います。始まったばかりの、長くなりそうな道のりを前にして、涙が出なかった。「泣いていられない」という気持ちが、どこかにあったのかもしれません。
もしかしたら、あのときに泣けていたら——何かが違っていたのかな、と今でも思うことがあります。感情をちゃんと外に出せる人が、少し羨ましい。そんな自分の性格を、もどかしく感じることもあります。
それでも、心は少し軽くなった
泣けなかったけれど、私はあのとき、確かに心が軽くなりました。
「大変だったと言っていいんだ」——そう思えた瞬間でした。それまでの私は、「もっとうまくやれるはずだったのに」「ちゃんとできない自分がおかしいのかも」という思いにずっと縛られていました。
でも「大変でしたね」という言葉は、「あなたが大変だったのは、あなたのせいじゃないよ」という意味に聞こえました。それだけで、肩の荷がすっと下りる感覚がありました。
「わかってくれる人がいる」と思えた最初の瞬間
あれが、誰かに「わかってもらえた」と感じた、初めての瞬間だったかもしれません。それまでは、相談しても「頑張って」と言われるばかりで、自分の辛さを理解してもらえないと感じていました。
心理士さんの言葉はシンプルだったけれど、それが刺さったのは、私の話を「ちゃんと聞いてくれていた」からだと思います。話の内容じゃなくて、私という人間を見てくれている——そう感じられたことが、大きかった。
「相談する」ことへの壁を越えて
発達特性のある子の育児をしていると、「専門家に相談する」ことへのハードルを感じる場面があります。「大げさかな」「こんなことで行っていいのかな」と思ってしまう。
でも、あの日の心理士さんの「ひとこと」が教えてくれたことがあります。専門家に相談することは、弱さじゃない。むしろ、自分と子どものために動ける強さだということ。
もし今、誰かに話を聞いてほしいと思っているお母さんがいたら——まず一歩、踏み出してみてください。「大変でしたね」と言ってくれる人が、必ずいます。
心が疲れた時に読んでほしい本
発達特性のある子を育てながら、心が折れそうになる瞬間は何度もあります。そんな時に、親自身の心を守るための言葉をくれる本に、何度も救われてきました。
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